免許証の裏面で意思表示してみた

よくファミレスなどで”アンケートのご記入をお願いします”と置いてあると、書きたくてそわそわしてしまいます。 「笑顔が素敵でまた来たいと思いました!」などと、そのお店のいいなと思ったこと伝えるチャンスなので、ほぼ毎回といった具合に書き込んでしまいます。 あと居酒屋のトイレにある”ご意見でも落書きでもなんでもどうぞ!”みたいに置いてあるノート、これにも何かしらを書いてしまいます。 夏に免許証を手に入れたのですが、”記入は自由です”と書かれた欄を発見したので、前傾姿勢でペンを握りました。

免許証の裏面、記入してる?

免許証の裏面を見てみると、二つの欄があります。 一つは備考欄。 そしてもう一つが臓器提供の意思表示ができる欄です。 今回私が記入したのは、この臓器提供の意思表示ができる部分。 なんでも記入したがる私にとっては『もちろん書くでしょ!』という勢いで記入していたのですが、”あれ、この記入欄の書き込みは自由だけど、実際書いている人はどのぐらいなのだろう?”とふと気になったので調べてみました。 日本臓器移植ネットワーク(2016年調査)をみてみると、免許証に意思表示欄があることを知っている人の割合が68%なのに対し、実際に記入している人は約19%とのことでした。 意外と少ないですね。 ちなみにこの意思表示欄があるのは免許証だけでなく、身近なものだと保険証の裏面にもあります。 これらを全て合わせた全体で見てみると、意思表示カードや運転免許証、健康保険証での意思表示率は、なんと10.3%~11.2%なのだそうです。

備考欄に手書きはNG

私のようになんでも書き込みたくなるからと言っても、免許証の裏面の記入はしてはいけません。 この備考欄は、例えば引っ越して住所が新しくなった時や、氏名が変更となった時に正式に書き加えられるものらしく、自分の手で書き込むと公文書変造罪となってしまうこともあるらしいのです。 保険証は自分で新住所を書き込むことがあるので、書いてもいいものだと勘違いをしている人も多いようです。 免許証の裏面は、臓器移植に関する意思表示のみ自分で記入ができるということですね。

私の記入したこととその理由

私はこの意思表示欄で、”脳死後および心臓が停止した死後のいずれでも、移植のために臓器を提供します”に丸をつけました。 なんならできるだけ早く、臓器が新鮮なうちに求めている人の元へ移植してほしいなと思うのです。 それに私の体と魂がなくなったとしても、私が分裂して生き続けられるような気がするとも思っています。 事故が起こった瞬間に五臓六腑に魂を分散させて、移植された後に新たな人生を歩むというのもできるかもしれない。 そこに私自身の意思を持てなくても、誰かの体の一部として機能するということは、細胞として生きているということだし。 なんとも非現実的な考えに聞こえるかもしれませんが、実際に海外では心臓移植後に食べ物の好みや性格が変わったという話が存在します。 事故死した後に私の臓器が提供されたら、母や父は”Aさん(桃の腎臓)”とか”Bさん(桃の心臓)”みたいに連絡先を登録するのかなと思うと、命をつなぐだけでなく私の思いは生き続けるようにも感じます。 なので自分の意思通りに生きれなくなったその時には、延命措置などせず、すべてを体の中に収めて火葬しようとせず、使えるもんはすべて必要としている人へ譲って欲しいなあと思っています。

視力は関係ない

大学時代の友人が、この意思表示の下にある特記欄に「すべて提供します。でも目は悪いです。」と記入していました。 ”提供したくない臓器があれば記入して下さい”という欄もあり、その中に”眼球”と書かれていることから、視力の悪い眼球を提供するのは申し訳ないと思ったようです。 気になったので調べてみるとこのように書かれていました。
Q4:視力が悪くても献眼できる? A.視力が悪くても、献眼できます。 近視・乱視・老眼・色覚異常といった眼の症状や異常、白内障や緑内障等の眼の病気があっても献眼可能です。 角膜さえ透明であれば献眼できますが、レーシック手術を受けた方は移植を行う際の術式が限られますので、必ずお申し出ください。 (参考:富士山アイバンク)
視力は関係ないらしい…! 人間の体の構造って不思議ですね。 免許証記入と同時に、もし臓器移植の意思を示しているのであればそれぞれの臓器の健康状態や持病なども把握しておくこと、またこのような些細な疑問も家族と話しておくといいのかもしれません。

自分の意思は出さなければ自分にしかわからない

臓器提供して欲しいという人がいれば、臓器提供はしたくないという人もいます。 意見はそれぞれなので、本人とその家族とで意見が割れることだってあるのです。 本人の意思がわからないまま、意思疎通ができなくなってしまった時、家族は選択の中で「本人は何を望んでいるだろう?」と悩むかもしれません。 映画『人魚の眠る家』でもそうやって家族が悩むシーンがあったな…。 自分が元気なうちに、もしもの場合の意思を示しておくことは、もしもが現実化した時に家族への負担を減らすことにも繋がります。

あとがき

そうならないことが一番だけど、もしものことを考えた話でした。 免許証裏面を記入すると同時に、自分の死生観を具体的に言葉にすることができてよかったです。 また、意思表示をしている人の割合が想像よりはるかに低くて驚いたのですが、このブログを読んで記入する人が増えたらいいなと思います。

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